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【プロの応用編】現場で実践する効率的なワインテイスティング

2023年6月19日

【プロの応用編】現場で実践する効率的なワインテイスティング

ワインボトル by ワイン・ライン

ワイン・ラインのワインボトル

ワイン業界ではワインの試飲会が頻繁に行われている。
自宅やスクールでの試飲とは異なり、現場での試飲は本数が膨大で時間が少ない。
1本1本に時間をかけていると、あっという間に途中退席させられてしまうのだ。

今回はワイン中級者向けに効率的なテイスティング方法を解説していく。
初心者向けのテイスティング方法に関しては▶こちらからどうぞ。

【現場のテイスティング】平凡なワインは無視!採用したいワインだけ覚えておく

重複するが業者向け試飲会のワインの本数は膨大で、全てのワインをメモに取っていると時間が足りなくなる。
要は自社で採用するワインを発掘できれば良いので、特に気にならない平凡なワインまで丁寧にテイスティングをする必要はない。
全てのワインを試飲するが、自社のニーズ、お客様の嗜好、トレンド等を加味して、大量にあるワインをふるいにかけていこう。

【プロの技①】特徴的なワインだけメモを取る

中級者の方なら、「シャルドネならこんな感じ」、「カベルネってこうだよね」・・等、ある程度特徴を掴めていると思う。
試飲の経験を積むと、「お、これは個性があって面白い!」、「これはコスパ高いな、店で出そう」と分かるようになってくるのだ。
飲んでも記憶に残らない平凡なワインはスルーして、特徴的、もしくは個性的なワインのみをメモに取ると効率が良い。

メモの取り方

ワインは「外観」「香り」「味わい」で構成されている。
何の変哲もない平凡なワインならメモを取る必要はないが、3つの要素の中で1つでも記憶に残るものはあればメモを取るべきである。

  • レモンの香りが際立っている→「レモン強め」
  • ハーブのニュアンスが強い→「ハーブ系」
  • ビオ独特な牧場のような香り→「ファミック」
  • 酸っぱい→「酸強め」
  • 甘い→「甘口」
  • 苦い・豊かなタンニン→「フルボディ」

長々とメモを取る時間は無いので、「レモン」、「ファミック」、「熟成」等、一言で構わない。(因みにファミックは私の造語である)
良い要素だけメモを取るのではなく、「果実香が少なくて客の嗜好に合わない」や「熟成感が出過ぎててうちの料理と合わない」等、気になったことは書き込んでいこう。

ポイント

特に、甘口か、フルボディか等、味に関しては一言添えておくべきで、これを怠ると「あれ、これハーブ系だったけど辛口だったっけ??」、「この赤ワイン、ミディアムボディだったかな」と後で思い出せなくなる。
ワインは基本的に辛口なので、完熟感や残糖感のある甘口だったものを「甘い」、豊かなタンニンを感じるものを「フルボディ『重口』」と書いておけば大丈夫だ。
特に記述のないものは辛口、ミディアムボディ(中重口)と言うことになる。

【現場のテイスティング】ワインに点数を付ける

ワインをポイント制で整理する習慣が付くと、テイスティングが楽になる。
これは自社に採用するしないは関係なく、全てのワインを採点するべきだ。

【プロの技②】ワインの五段階評価

ワインに点数を付ける場合は五段階評価が丁度良い。
三段階だと少ないし、十段階だと多すぎる。
ワインを数値化すると、テイスティングの効率が飛躍的に上がる。

五段階評価の付け方

五段階評価と言ったが、実際には小数点で付けていく。
例えば3点でも、3.2点と3.8点では印象が全く異なってくる。
点数を付けていくうちに法則性が見えてくるはずだ。

「2,000円で3点はコスパ良い」、「4,000円で3点はコスパ悪い」、「4点だけど5,000円か・・」等。

ポイント

私の感覚だが、2,000円台で2.8点付いたワインはコスパは良い方だと思う。
3点付いていたら、間違いなく採用するだろう。

【現場のテイスティング】その日のうちに復習する

時間が経つと忘れてしまうので、その日のうちにメモを書き込んだワインリストを見直すと良いだろう。
このテイスティング法を実践すると、このように書かれているはずだ。

  • グレープフルーツ・辛口・2.5点[2,500円]
  • 酸強め・辛口・薄い・玄人向け・1.9点[3,000円]
  • カシス・ジューシー・フルボディ・万人向け・3.8点[2,700円]
  • ファミック・ベリー・ライトボディ・2点[3,700円]

ワインの際だった特徴と点数をメモしておけば、後で採用する時に悩まなくて済むのである。
慣れてくれば、1本5~8秒の時間で試飲が可能になり、沢山飲めるようになる。
是非、今日から実践していただきたい。

ポイント

因みに、私は4~5点台は滅多に付けない。
特に最近の異常気象、物価高騰で「良いワイン」は減っている。
上の例に挙げた3.8点は相当良い方である。

まとめ

現場のテイスティングは時間が少ないので、際だったワインの特徴のみをメモし、五段階評価で点数を付けていく。
その点数と価格を照らし合わせると、法則性が見えてくるはずだ。
忘れがちだが、辛口か甘口、ミディアムボディかフルボディ等、味は必ず書いておこう。

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「WINE LINE」は無資格状態からワイン業界に転職し現場で揉まれ、ワインエキスパートを取得して最終的に独立まで果たした管理人の雑記ブログです。本業と副業で、ワインショップや酒売場の勤務経験が15年突破しました。ひたすら現場主義!ワインエキスパートと調理師の資格所持。ワイングラス日本酒アワード審査員。宜しくお願いします。 ▶プロフィール・お問い合わせ

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