【プロ直伝】ワインのテイスティングのやり方は?画像付きで解説します!
ワインを勉強したい方は勿論、ワインを楽しみたい方も正しいテイスティング(試飲)の方法は知っておくべきである。
ワインを的確に分析できれば、楽しみ方の幅が広がり、よりディープなワインの世界へと歩み出せるからだ。
私は「田崎真也のワインサロン」で基礎を学び、現場で同僚と切磋琢磨しながらワインをテイスティングしてきた。
ソムリエ協会が定めるテイスティング法を地盤に、現場で培った実践方式を交えて解説していく。
【テイスティングの基本】共通の考え方とルール
ワインをテイスティングする際に、注意深く観察するのは下記の四つである。
- 外観
- 香り
- 味わい
- イメージ
通常は上位三つだが、私は4番目のイメージを大切にしている。
それでは、順番に解説していこう。
注意ポイント
ワインはグラスにタップリ注ぐのではなく、グラスの真ん中より少し下まで注ぐ。
安い居酒屋のグラスワインのようになみなみ注ぐのはNGだ。
グラスの中に空間がないと、香りを感じ取れないのである。
【テイスティングの基本】ワインの外観
基本的にワインをグラスに注いで最初に入ってくる情報は外観(色合い)である。
「基本的に」としたのは、ワインによっては抜栓した瞬間に香りが溢れ出すものもあるからだ。
まずは、外観(色合い)をチェックする。
淡いか、濃いか、澄んでいるか、濁っているか、澱(オリ・沈殿物)のあるなし、グラスをクルリと回し、グラスの縁に付いて伝うワインの粘度(ワインの涙・ワインの脚)や色も確認する。
グラスを傾けたり、照明で照らして色のグラデーションをチェックしよう。
【テイスティングの基本】ワインの香り(アロマ)
外観の次は香りだ。
まずはグラスから自然と立つ香りをチェック、更にグラスを回して(スワリング)、二重チェックする。
ワインの香りはレモンやブルーベリーのような果実香や、なめし革(ソファーのイメージ)やキノコのような熟成香など、様々な要素が入る。
それらを的確に分析できれば、ワインの理解は深まるのだ。
代表的な白ワインの香り
- レモン
- グレープフルーツ
- パイナップル
- ライチ
- 黄桃
- ハーブ
- 黄色い花
代表的な赤ワインの香り
- チェリー
- ストロベリー
- ブルーベリー
- カシス
- スパイス
- 腐葉土
- トリュフ
ワインの香りは第一アロマ、第二アロマ、第三アロマに分けられる。
- 第一アロマ:ブドウ由来のアロマ。レモンやベリーなどの果実香。この香りが強いとブドウのポテンシャルが高いことが伺えるので、良いヴィンテージと言うことになる。
- 第二アロマ:醸造由来のアロマ。ボージョレ・ヌーヴォーの甘いキャンディのような香りが代表的。第一アロマより第二アロマの方が強いと、あまり良い印象は持たない。
- 第三アロマ:熟成由来のアロマ。ドライフルーツや腐葉土、トリュフなど、明らかに果実の香りとは異なる。第三アロマはワインに複雑味を与える。
慣れれば、すぐに判別できるが、最初は「ふーん、そんなものがあるのか」程度の認識で構わない。
眠くなりそうだったら、代表的な香りだけ押さえれば問題ない。
注意ポイント
「ワインの匂い」、「ワインが匂う」ではなく、ワイン業界では「ワインの香り」、「ワインが香る」と言う。
アロマと表現しても良いだろう。
ワインの職場で「匂い」と言う人に出会う確率はかなり低い。
【テイスティングの基本】ワインの味わい
外観、香りと続いて、最後に味わいを確認する。
タップリ口に含んで喉ごしを楽しむのではなく、適量を口に含んでしっかりと味わおう。
鼻腔を抜けるアロマも味を確認する上で重要だ。
- 白ワインなら酸やミネラル感を確認し、辛口か甘口かを判別する。
- 赤ワインなら果実味やタンニン(渋味)を確認し、ミディアムボディかフルボディかを判別する。
ポイント
飲みこまなくても味はチェックできるので、プロの試飲会だと飲まずに吐き出す。仕事中に酔ってしまうからである。
【テイスティングの基本】ワインのイメージ
![白ワイン](https://wineline.jp/wp-content/uploads/2021/06/白ワインとグラス_1200.jpg)
冷えている白ワイン
このイメージの要素は、ワインの勉強とは全く関係ない。
ただ、ワイン仲間と飲んでいると、しばしば話題に挙がるのも事実だ。
トロピカルな白ワインを飲むと真夏のビーチが頭に浮かんだり、エレガントな赤ワインを飲んで俳優に例えたり・・と言ったイメージである。
感性が豊かだとワインを飲むことにより様々なイメージが湧くのである。
面白いのは、自分が行ったこともないような場所のイメージが見える場合もあるのだ。
私の場合、浮かんだイメージをメモして、後でそのイメージの裏付けを探すことにしている。
大層なことではなく、インポーターのホームページに掲載されているワインのデータと照らし合わせるのだ。
最初にデータを読むとイメージに影響を与えるので、テイスティングが終わった後の方が良い。
不思議なことに、データを読むとイメージを裏付ける要素が見付かることがあるのだ。
私の例を挙げていこう。
- 満月が見えた・・・ビオディナミだった
- 大海原が見えた・・・昔は海だった場所
- 真っ黄色のイメージ・・・グレートヴィンテージだった
- 母性を感じた・・・女性の醸造家だった
これらは前情報なしで浮かんだイメージである。
データを読み解くことも大事だが、イメージから逆算してテイスティングをする人が存在することを覚えておこう。
【ワインのテイスティング】ワインの外観を画像付きで解説します!
文章だけではイメージが湧かないと思うので、画像で解説していこう。
所謂、ランチやディナーの写真なので、クオリティ-は高くないが、イメージが出来ると思う。
【白ワイン】色合いの表現
それでは、白ワインの色合いを解説していこう。
白ワインは「イエロー」と「グリーンがかったイエロー」に大別できる。
明るいイエロー
![](https://wineline.jp/wp-content/uploads/2023/06/20fcc199235f70faa6d6439d628eac83-1024x1024.jpg)
b1明るいイエロー
「明るいイエロー」が白ワインの基準となる。
明るいグリーンがかったイエロー
![](https://wineline.jp/wp-content/uploads/2023/06/ad03b05dca9964eac079edf13148d59a-1024x1024.jpg)
b2明るいグリーンがかったイエロー
そこまで色が濃くないイエローを「グリーンがかった」と表現する。
冷涼な地域だとブドウが濃く色付かない。
つまり寒い産地だと判断できる。
寒い産地だとブドウに酸が乗るので、ワインもフレッシュで酸味が豊かなことが多い。
淡いグリーンがかったイエロー
![](https://wineline.jp/wp-content/uploads/2023/06/569e0bfb1186e22aac6a23c5fb15dd82-1024x1024.jpg)
b3グリーンがかったイエロー
明るいグリーンがかったイエローより更に淡いイエロー。
当然、冷涼な産地である。
(安いワインでも淡くなることはある)
注意ポイント
ワインを「薄い」とは表現しない。
「薄い」はワイン業界ではネガティブなイメージを与える。
「淡い」と表現しよう。
淡いイエロー
![](https://wineline.jp/wp-content/uploads/2023/06/f0803418670ff5780975f8071fcd2edf-1024x1024.jpg)
b4淡いイエロー_レ・ヴァン・コンテ
明るいイエローより淡いが、そこまでグリーンでもないイエロー。
冷涼でもブドウが成熟していると色は付く。
濃いイエロー
![](https://wineline.jp/wp-content/uploads/2023/06/517b7d4adda46fb029db0ffd682d2ce5-1024x1024.jpg)
b5濃いイエロー
明るく濃いイエローなどと表現する。
気候が温暖だったり、樽熟成させると色が濃くなる。
基本的に色が濃いと味も濃くなる。
濁りのあるイエロー
![](https://wineline.jp/wp-content/uploads/2023/06/54a51f1d883c31809a830c7249c37096-1024x1024.jpg)
b6濁りのあるイエロー
オーガニックワインに多い。
無ろ過だと当然濁るのである。
私は無ろ過が醸し出す独特な風味が好きだ。
味の変化が激しいので、3日以内に飲みきった方が良い。
褐色がかったイエロー
![](https://wineline.jp/wp-content/uploads/2023/06/248d499da3179644d10875f46a13f5e0-1024x1024.jpg)
b7熟成感のあるイエロー・シャルツホフベルガー・リースリング アウスレーゼ
ワインは熟成すると、褐色がかってくるのである。
白ワインは茶色に、赤ワインはレンガ色に。
褐色がかった白ワインからは第三アロマが香る。
【赤ワイン】色合いの表現
続けて赤ワインの色合いを解説していく。
赤ワインの赤色は「ルビー」と「ガーネット」に分けられる。
明るいルビー
![](https://wineline.jp/wp-content/uploads/2023/06/f649f606451dbc7593d90f2964a9b56a-1024x1024.jpg)
r1明るいルビー
グラスの底が透けて見えるように淡いレッドをルビーと表現する。
ピノ・ノワールのように酸が豊かでエレガントなワインはルビーであることが多い。
濃いルビー
![](https://wineline.jp/wp-content/uploads/2023/06/12b3649720eeeb392094b31177f3472f-1024x1024.jpg)
r2濃いルビー
明るいルビーよりは色が濃いものは濃いルビーと表現する。
若干濃くてもグラスの底は見えている。
気候が良い年(グレートヴィンテージ)、ブドウが成熟していると色は濃くなる。
明るいガーネット
![](https://wineline.jp/wp-content/uploads/2023/06/59f74aa9fad533ae3af23e9eb24abad9-1024x1024.jpg)
r3明るいガーネット
ルビーより色が濃いものをガーネットと表現する。
明るいガーネットが赤ワインの基本となる。
濃いガーネット
![](https://wineline.jp/wp-content/uploads/2023/06/0e61c720e20a3f6fb169f85862982003-1024x1024.jpg)
r4濃いガーネット
明るいガーネットより色が濃いガーネット。
こちらもよく見掛けるだろう。
色から分かるように、味も濃く豊潤なものが多い。
暖かい地域、ニューワールドに多く見られる。
青紫がかったガーネット
![](https://wineline.jp/wp-content/uploads/2023/06/b149646f6c72ecf189b1de5bfcfbddf7-1-1024x1024.jpg)
r5青紫がかったガーネット
シラーのワインは青紫になる。
南仏やオーストラリアに多い。
「やけに青い」、「紫色が濃い」と思ったらシラーの可能性が高い。
テイスティングにおいて色合い(外観)は非常に重要だ。
濁りのあるルビー
![](https://wineline.jp/wp-content/uploads/2023/06/295dd94179c30dd26791bf2d2399d3ad-1024x1024.jpg)
r6濁りのあるルビー
オーガニックワインに多い無ろ過のワイン。
濁っているワインは独特で個性のあるものが多く、ワイン愛好家を楽しませてくれる。
しかし、2~3日以内に飲みきらないと、あっという間に味が変わるだろう。
勿論、濁りのあるガーネットも存在する。
褐色がかったルビー
![](https://wineline.jp/wp-content/uploads/2023/06/98c55d1c915c1e245d5c066ff2e727b0-1024x1024.jpg)
r7熟成感のあるルビー
熟成が進むと白ワインは茶色に、そして赤ワインはレンガ色になる。
写真はルビーだが、ガーネットも褐色がかるとルビーのように明るくなる。
ブルゴーニュやボルドー、ブルネロなどが美しいレンガ色になっていると、飲み手のテンションを上げてくれるのだ。
まとめ
ワインのテイスティングで重要な要素。
- 外観
- 香り
- 味わい
- イメージ
まずは上の四つの基本を自分の中に定めよう。
白ワインの外観なら明るいイエロー、赤ワインなら明るいガーネットの基準を覚え、そこから徐々に知識と経験を増やしていけば良い。
この外観ならこの香りが多い、そうするとこの味わいになる・・と言う風に、点と点を線に繋げていこう。
ポイント
とにかく飲む!のも大事だが、テイスティングの基本を理解してからでないとワインを覚えることは出来ない。
座学と実戦を同時進行していこう。
管理人運営のショップ
未経験からワイン業界へ飛び込み、資格を取得した管理人のショップ。
自分が「美味しい!」と感じたワインのみ扱っています。
宜しければご来店下さいませ。