ワインエキスパートの葡萄酒学

WINE LINE◆ワイン・ライン

https://wineline.jp

【ワインの仕事】どんな仕事がある?業界の裏事情まで解説します!

2023年5月30日

【ワインの仕事】どんな仕事がある?業界の裏事情まで解説します!

ワインの仕事で真っ先に思い浮かぶのはレストランで勤務するソムリエだろう。
巷では「野菜ソムリエ」や「温泉ソムリエ」、「だしソムリエ」など、様々なソムリエが存在するが、本来ソムリエはワインのプロである。
ワインの専門家のイメージから「何かしらの専門家」と言う意味で使われ始めたのだろう。

「特別な才能が無いと務まらならない?」と思う方もいるかもしれないが、決してそんなことはない。
その辺りの事情を、これからワイン業界へ転職を考えている方に向けて語っていこうと思う。
資格取得希望者に分かるように「試飲が出来て勉強になるかどうか」にも焦点を当てていく。

ワインの仕事は4種類

  1. レストランやバーで働くソムリエ
  2. ワインを輸入するインポーター
  3. ショップでワインを販売する販売員(バイヤーを含む)
  4. ワイン醸造家

私は約15年ほど、3番のワインの販売員として勤務した経験があり、現在は副業としてワインのネットショップを運営している。
その経験も踏まえて、前述した4つの職種を業界の裏側まで解説していく。

ソムリエの仕事

ソムリエに難しいイメージがあるかもしれないが、やっていることはウェイターである。
別に彼らはワインのことだけをやっているのではなく、席への案内、料理の提供、会計、グラスの洗浄など、接客全般や雑務をこなしている。

ソムリエの仕事自体は、無資格でも問題ないので、年齢が若ければ飲食業界に飛び込んでしまうのもありだと思う。
以前、スペイン料理のチェーン店でチャコリをボトルでオーダーした時、無資格のバイトの女の子が担当してくれたが、特に問題なくワインを楽しめた。

ワインに関連する業務だと、ワインのサーブ、ワインリスト作成、在庫管理、インポーターとの商談が挙げられる。
小さい店だと店長が料理からワインの業務までこなしているケースも多い。

ソムリエと言うと、華やかなイメージがあるかもしれないが、仕事自体は体育会系&地味なので、その辺りは覚悟して欲しい。
また、ウェイターと同様だと前述したが、当然のことながらワインの勉強は必須である。
どれだけ本を読んで勉強したか、ワインをどれだけ飲んだか・・その知識と経験が武器となるので、基本的なことを習得するまでは勉強の毎日である。

飲食店の扱うワインはそれ程多くないので、意外と飲めない。料理とのペアリングは勉強できる。

若さと体力が必要。ワインを小売単価の2~3倍で提供するので割高。時間が不規則になる。

ワインインポーターの仕事

インポーターは海外からワインを輸入し、それを飲食店や小売店に販売している。
主な仕事は現地ワイナリーとの交渉、国内の営業・商談、試飲会の運営など。

基本的に通常のオフィス勤務に準じるが、異なる点は「業者向け・一般向けの試飲会の運営」だろう。
自社のワインを実際に飲んでもらい、販売するのである。
ホテルや百貨店の催事場、自社オフィスで開催され、長ければ1週間ほど続くことがあり、休日に当たるとオフが無くなる弊害が出る。

現地のワイナリーを回り世界を飛び回る格好いいイメージを持つ方も多いだろうが、実際に海外へ行くことは殆ど無いだろう。
行くとしても特定の人物だけか、研修を兼ねて新人がそれについて行くイメージだ。
日本にいながらでも輸入は出来るので、若者の酒離れ、コロナの影響で売り上げが厳しい昨今、出張に経費をかける余裕は無い。

インポーターのメイン業務は、国内への営業である。
バーのソムリエやワインショップの販売員、大手スーパーの酒バイヤー・・、所謂ワインのプロへ営業をかけに行くのだ。

当然のことながら、相手が自分以上にワインに精通していることが珍しくないので、軽いノリで営業に行くと恥を掻くことになる。
私の体験談だが、知識の乏しい営業と会話をすると1分で相手の知識量が分かってしまうので、その時点で発注する気も無くなってしまうのだ。

販売員からキャリアアップとしてインポーターに転職する人が多いが、会社勤めが性に合わず辞めていく人も多い。
インポーターになると、営業でショップ店員に頭を下げに行くのでギャップを感じるかもしれない。

自社のワインのみ詳しい信者になってしまう可能性があるが、結構飲める。広い視野を持つようにしよう。

ワインインポーターはつぶしが効かなく、ワイン会社を転々としている人も沢山いる。

ワイン販売員の仕事

ワインショップや酒のディスカウントショップ、百貨店、スーパーの酒売り場、試飲販売などで活躍するのが、ワイン販売員だ。
比較的、入社の敷居が低く、飲食ほど生活リズムが乱れないと思うので、ワインの勉強をしたいならオススメの職種だ。
主な業務は、品出し、発注、接客、会計、包装、インポーターとの商談、試飲イベントの企画立案である。

この中で比重を占めるのは品出しなので、ある程度の体力は必要だ。
ワインは1ケース12本が基本なので、そのケースの荷下ろし、売り場に持って行く作業が毎日続く。

その他の業務は店の業態によって変わってくる。

ワイン専門店

お洒落なワインショップは客も発注量も多くないので、身体は楽だが、店内はかなり寒い
品出しがメインになるが、接客やプレゼント包装なども多い。
週末以外は暇なので、時間を持て余すかもしれないが、試飲販売の際に5~6本開けることもあるので、とても勉強になる。
インポーターとは異なり、各社のワインを飲むので視野も広がる。
先輩がワインに詳しいことが多く、試験勉強に向いた職場だと言える。

私はワインショップで先輩方にご指導いただき、勤務後はスタッフと切磋琢磨しブラインド試飲合戦をしていた。(社販で買えるので安い!)
辛いことも沢山あったが、その時の経験は現在の礎となっている。

飲食店ほどハードでは無く、営業のようなオフィスワークも無い。試飲の回数が多いので、勉強にはうってつけの環境である。資格取得を目指すのに最適な職場だ。

専門店は貧乏なことが多い。ワインの質が良い分、どこかブラック企業の要素があるかもしれない。

スーパーやディスカウントショップの酒売り場

高級スーパーや酒のディスカウントショップの売り場は、ワインショップよりも品数が多く忙しい。
ワイン以外にも日本酒、洋酒、ビール、おつまみなど、様々な商品を扱うので、その分大変だが幅広い知識が身に付く。
客層はホームレスから富裕層まで様々で、柔軟な対応が求められる。

専門店よりプレゼント包装の機会は少なく、圧倒的に品出しと発注が多い。
特にビールの品出しが多く、肝心のワインの接客まで手が回らないことも多々ある。

やまやなどの酒販店は勿論、高級スーパーも毎週マネキンを呼んで試飲に注力していることが多く、それに伴いスタッフも飲めるので、とても勉強になる。
最近のスーパーはレジが外部委託のことも多く、会計や包装に邪魔されること無く、売り場作りに没頭できるので、試験対策にオススメの環境だ。

専門店ほど窮屈な接客が必要なく、沢山試飲が出来るので、資格取得を目指すのにオススメの職場である。資本力があることが多いので沢山開けられる。専門店より福利厚生はしっかりしている。

本部の人間がワインに詳しくないので、高級ワインが常温便で納品されたり、オーガニックワインが倉庫で噴いていたりするので、割り切りが必要。スーパーは酒が主役では無いので、冷遇されることもしばしばある。

百貨店の酒売り場

これはコロナ前から言われていた事実だが、百貨店はオワコンなので、今後はますます衰退していく。
ワイン専門店が各地に点在し、ネットで高品質なワインがいつでも買える昨今、百貨店で「定価のワイン」を買う客がどれだけいるか。

スーパーに行けば1,000円を切るデイリーワインが、百貨店では煌びやかに1,500円で売られているのである。

専門店でしか扱っていないコアなオーガニックワイン、スーパーやディスカウントショップならではのセール商品・・のような売りが百貨店には無い。
Googleで検索すれば販売員よりも詳しい情報が見られる便利な世の中で、接客が鬱陶しいと感じる客が増えているのも、「きめ細やかな接客」を謳っている百貨店にとっては痛い変化だろう。
そして、百貨店は面倒臭いルールが多くのびのび接客できない上、ワガママな客にも丁寧な対応をしないといけないのでストレスが溜まる。

さて、先にマイナス的な要素を書いたが、良い点も挙げていこう。

  • 高齢者にとって百貨店は良いイメージがあるので、一定の層には世間体が良い。
  • 落ち着いた雰囲気の中で上質な接客が学べる。
  • 百貨店でしか買えない酒がある。

おじいちゃん、おばあちゃんは百貨店を謳歌した世代なので、百貨店勤務に対して良いイメージを持っている。
しかし、酒売り場は外部に管理を委託していることが多く、百貨店に就職と言うよりは、その百貨店を担当している企業から派遣されてくる形態になるかもしれない。

また、客一人一人に時間をかけて丁寧に接客をするので、上質な言葉遣いや立ち振る舞いが身に付くし、プレゼント包装が多いのでスキルは上がる。
企業の求人情報で「百貨店で接客経験のある人は優遇」と書かれていることもあるほどだ。

そして、ワインでは滅多に無いが、義理人情を重んじる日本の酒蔵の「百貨店にしか卸さない日本酒」が存在する。
ワインを百貨店で買うメリットは無いが、日本酒に限って言うと百貨店の存在意義はあると言える。
しかし、頑なに百貨店にこだわっていた酒蔵もコロナショックでコロッと態度を変えて販路をスーパーや量販店まで拡げてしまったので、存在意義が揺らいでしまった現実がある。

脱線するが、義理人情の酒蔵とは異なり、海外のワイナリーは簡単に裏切るので、気が付いたら余所の企業にも卸していた・・と言うことが多々ある。

百貨店の地下では頻繁にマネキンを呼んで試飲をしているので勉強になる。

基本的に暇なので売り場に立っているのが辛い。百貨店の今後の見通しが不明。

派遣販売員(マネキン)

催事や試飲イベントはマネキン(派遣のワイン販売員)が担当することが多い。
インポーターの営業やスーパーの店員は忙しいことが多く、週末の試飲は外部からスタッフを呼ぶのである。
資格を持っていなくてもワイン販売を体験できるので非常にオススメだ。

しかし、マネキンはノルマがきついので、メンタルが弱いと続かない上、最近は酒離れ、物価の高騰が背景にあり、だだっ広い百貨店の催事場で客よりも販売員の方が多い・・と言う痛々しい状況をよく見掛ける。
手っ取り早くワイン販売の経験を積みたいなら、マックス&アレックスやマンパワーグループなどの派遣会社に登録し、週末だけでもバイトをしてみると良い。
どれだけ客が来ないか、売ることが難しいか、体感できるだろう。(その分、スキルはアップする)

レジや品出しをする必要が無く、ひたすら客にワインを売る仕事なので、非常に勉強になる。職場の煩わしい人間関係に悩まされることも少ない。

ノルマがきつい。マネキンに冷たい売り場が多い。固定の店舗が無いとコロコロ売り場が変わるため移動が大変。製氷機が無い店舗だとワインを冷やす氷を買いに行かなければならないので面倒臭い。

酒(ワイン)バイヤー

スーパーや百貨店には売り場担当の販売員とは別に、本部にバイヤーが存在している。
個店主義の強い企業だと試飲会の企画などは売り場で決めるが、店の棚割(棚に並べる商品の選定)や基本的な売価、インポーターとの商談、出張は本部のバイヤーが担当している。
売り場にもインポーターは来て試飲や特価などの商談はするが、バイヤーの商談はその会社が扱う大元のワインを決める作業である。

店舗数の多いスーパーはその分発注量が増えるので、インポーターにとっても大顧客であり、毎月の月得(月のお買い得)を決める時期には大量のサンプルワインが届く。
店舗単位では無く全体の数字を背負うのでストレスが大きいが、その分やりがいがあるだろう。

では、ワインバイヤーがワインに詳しいかというと必ずしもそうではない。
先月まで人事や店長だった人が急にワインバイヤーに異動することもある。
そのような場合、スーパーのセンター(倉庫)を受け持っている問屋が棚割を決めてしまい、バイヤーはそれに目を通すだけ・・と言うケースも少なくない。(実質バイヤーでは無い)

専門店は規模が小さいことが多いので、売り場にいる販売員がバイヤーと名乗っていることもあるだろう。

何はともあれ、売り場の販売員からキャリアアップするならバイヤーを目指すと良いかもしれない。

サンプルのワインが頻繁に届くので、沢山飲める。付き合いの飲み会が多いので酒に強くないと辛い。

ストレスが大きい。所謂サラリーマンなのでワインが好きなだけでは苦しい。

ワインのネットショップ

ショップ店員からのキャリアアップでバイヤー、インポーターの他に挙げるとしたらネットショップである。
厳密にはキャリアアップでは無く、接客に疲れた店員がオフィスワークの入り口として選ぶ職種だろう。
実際は気を遣う相手がワガママな客から、神経質な女上司に代わるだけだが。(ネットショップは女性が多い)

主な業務はページ作成、画像編集、発注・在庫管理、受注・梱包・発送、企画立案、商談など。
この他に輸入業務や飲食店への営業が含まれることもある。

当然のことながら、パソコンスキルが必要となるので、Excel、Wordやスプレッドシート、PhotoshopやIllustrator、フリーソフトのphotopeaなどは使えた方が転職に有利だ。
小売店でもこれらのツールを使う機会が多いと思うので、学べるチャンスがあれば習得しておこう。

Amazonや楽天、Yahoo!ショッピング、メルカリ、自社サイトなどの運営が日々の業務であり、Webマーケティング、SEO対策、プログラミングなども学べる。
小売店よりは将来性があるので、転職先としてはオススメである。

試飲する機会は多いので試験対策にはなるだろう。

対面接客が無いので、コミュニケーションスキルは向上しない。接客や現場から得られる経験(ワインの知識を含む)は大きいが、それが無い。前述したが女性が多い職場なので、現場叩き上げで育った男性だと辛い思いをするかもしれない。独身で神経質なお局が権力を握っていると男性だけで無く女子でも辛いだろう。

ワイン醸造家の仕事

その名の通り、ワインを造る仕事である。
ソムリエやシェフ、インポーターの方々がワイン醸造家に転身するケースは意外と多い。
世界の美味しいワインに触れているうちに、「自分の理想のワインを造りたい!」と思うようになるのである。

ワイン業界に身を置く者として、その夢には大いに賛同するし、日本ワインのレベルを引き上げて欲しいと思っている。
しかし、厳しい現実の話をしていこう。

まず、今からブドウ栽培を始めたとしても、ブドウがワインとなる品質に育つまで5年はかかる。
単純に今の自分の年齢に+5年してみて、未来をイメージして欲しい。

ワインを造るまでは栽培したブドウを売ったり、バイトをしたり、それ以外は農業をしたり・・と、非常に忙しくなる。
買いブドウ、委託醸造でワインを造る方法もあるが、コストが上がるので、ワインの値段が上がってしまうだろう。

自社で畑を持ち醸造所を持つ際の費用は、3000万~8000万円ほど。
家が買える値段である。
つまり、時間と費用を考えると、生半可な覚悟では転身できないのだ。

興味があったら、ワイナリーでバイトをしてみると良い。 自分で苗を買いワインを造れるワイナリーもあるし、県が助成金を出すケースもあるだろう。 何はともあれ、自分に炎天下で農作業が出来るかどうか、害虫を駆除できるかどうか、トラックを運転できるかどうかを体験してみると良いだろう。

まとめ

ワインの仕事は、飲食店に勤務するソムリエ、輸入するインポーター、ショップ店員、醸造家などが挙げられる。
入り口として最適なのは、無資格でも勤務できる派遣販売員である。
何度か売り場に立ってみて、興味が出れば資格取得を目指すと良いだろう。

管理人運営のショップ

未経験からワイン業界へ飛び込み、資格を取得した管理人のショップ。
自分が「美味しい!」と感じたワインのみ扱っています。
宜しければご来店下さいませ。

▶ ワインショップ ワイン・ライン

ランキング!投票お願いいたします!

  • B!