「ワインってどんなお酒なんだろう?」
「取り敢えずササッと一通り知りたいな」
この記事では、こう言った疑問にお答えします。
最初に結論を言ってしまうと、ワインとは葡萄から造られるお酒です。
今回の記事ではもう少々踏み込んで詳細に語ります。
私はワイン業界に10年以上従事し、現場一筋で現在も売り場に立ち続けています。
ワインエキスパートの資格を取得した私が解説していきます。
ワインってどのようなお酒?
それでは解説していきましょう。
酒税法とワインの分類
日本の酒税法(酒に関する法律)では、ワインは葡萄果汁を原料とした醸造酒に分類されています。
「醸造酒って何?」と思われる方に、分かりやすい例えを出すと、醸造酒はワインや日本酒、第三のビール等を指し、蒸留酒はブランデーやウィスキー、焼酎等の濃い酒を指しますが、ここでは、ワインは葡萄の醸造酒だと覚えておいて下さい。
さて、こうなると、「観光地で売っている苺ワインや柚子ワイン、梅酒は、原料が葡萄ではないからワインではないの?」と疑問に思う方もいると思います。
一般的に、葡萄以外の果実を使ったワインは、フルーツワインと呼ばれていますが、酒税法でその定義はありません。フルーツワインは甘味果実酒やリキュールを含む混成酒類に分類され、我々がイメージする葡萄のワインとは異なります。
ワインの分類
ワインは醸造方法によって、スティル・ワイン、スパークリングワイン、フォーティファイド・ワイン、フレーヴァード・ワインに分類されます。
スティル・ワイン
皆さんが思い浮かべているワインは、大抵スティル・ワインを指す。シュワシュワと発泡していない普通のワインです。
赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン、オレンジワイン(オレンジのワインではない)等があり、味わいも辛口から甘口まで多様です。
スパークリングワイン
スパークリングワイン・ロゼ 画像提供:Vratsagirl
発泡性のワインを指します。フランスの「シャンパン」やスペインの「カバ」等が有名。スーパーやコンビニの酒売場に行けば何種類か冷えていますね。
発泡が弱いものは弱発泡性ワイン、または微発泡性ワインと呼ばれ、ワイン初心者にも飲みやすい爽やかなものが多いです。ガタオと呼ばれる猫のラベル(エチケット)の微発泡性ワインは飲みやすいのでオススメ。
メモ
ドラマや漫画で有名なドンペリはスパークリングに分類されます。
フォーティファイド・ワイン
ワインの醸造中に、ブランデーやアルコールを添加して、アルコール濃度を高めて、味わいにコクを持たせたタイプ。通常のワインと比べて日持ちします。
シェリー、ポートワイン、マディラ、マルサラ等があり、甘口のものも多い。アイスクリームにかけたり、料理のソースにも使われます。
フレーヴァード・ワイン
冷えているサングリア 画像提供:Ruth Archer
ワインに、ハーブや果実、甘味料等を加えたタイプ。サングリアが有名。
メモ
フォーティファイド、フレーヴァードは混成酒類に分類されます。
ワインってどうやって造られるの?
さて、ワインの原料や種類が分かったところで、葡萄の果汁がどのようにお酒になるのか学んでいきましょう。
アルコール発酵によって葡萄ジュースからワインになる
アルコール発酵により、ただの葡萄ジュースからワインへと劇的に変化します。酵母が葡萄に含まれる糖分を食べて、アルコールと炭酸ガス(二酸化炭素)に分解する。
醸造工程に関しては他にも多々ありますが、別の記事で解説するとして、今は取り敢えずこのシステムによってワイン(お酒)になることを押さえておけば問題ありません。
赤ワインの造り方
赤ワインとボトル 画像提供:congerdesign
赤ワインは何故赤いの?それは黒葡萄(スーパーで見かける紫色の葡萄をイメージして欲しい)の果肉を皮や種子ごと潰し、それらの混合物と果汁を漬け込むことにより赤い色が付くのです。
これにより色と味が濃くなり、タンニン(渋味)をしっかりと感じるワインとなります。種をかじると苦い、それがワインの苦味の正体です。
メモ
赤ワインにおいて、フルボディやミディアムボディと言った味の違いは、タンニンの含有量に起因します。
白ワインの造り方
冷えている白ワイン 画像提供:Ben Kerckx
赤ワインとは異なり、白ワインは白葡萄(マスカット等をイメージして欲しい)を圧搾した果汁を原料として用いる。赤ワインのように皮や種子を漬け込み発酵させるのではなく、果汁のみを使用しているのがポイントです。これにより渋味を感じず、フレッシュでフルーティーな味わいになります。
極論、黒葡萄を用いても、皮ごと漬け込まず果汁を使えば、ワインに濃い色は付きません。
ロゼ(ピンク色)ワインの造り方
ロゼワイン(スパークリング) 画像提供:Karin Romdahl
上の極論を応用するとロゼワインになります。白ワインの醸造方法で、黒葡萄の「果汁のみ」を用いますが、葡萄の圧搾時に若干のピンク色が付きます。
また、通常の赤ワインの醸造方法で、皮や種子ごと漬け込む時間を短くすることにより、ロゼにする方法もあります。
黒葡萄と白葡萄を混ぜたり、赤ワインと白ワインを混ぜる方法もありますが、それを禁じている国もあります。
オレンジワインの造り方
上でも述べたがオレンジのワインではなく、白葡萄を果皮や種ごと漬け込んで造られるワインで、通常の白ワインよりは濃い色合いのオレンジ色に見えるワインの総称です。
白葡萄を使い、赤ワインのようにして造るワインと理解しておけば良いでしょう。味わいは、白ワインよりはタンニン(苦味)を感じます。アールグレー、ダージリンのような紅茶のニュアンスを感じることもあります。
メモ
今、オレンジワインはブーム。ジョージアが有名ですが、他にもイタリアや勿論、日本でも造られています。
スパークリングワインってどうやって造られるの?
アルコール発酵の際に造られる炭酸ガスがキーポイント。
スパークリングワインの醸造方法は複数あるので、中でも重要なものを解説していきます。
トラディショナル方式(瓶内二次発酵)
ワインを瓶に詰め、アルコール発酵に必要な糖分と酵母を加えて密封させ、瓶の中で二次発酵を起こします。その際に炭酸ガスが発生するのでスパークリングとなります。
一本一本処理をするので手間も時間もかかりますが、瓶の中で発酵するため、味わいに凝縮感とコクが出ます。
下に代表的なトラディショナル方式のワインを記します。
こだわりの高級スパークリング!シャンパン(シャンパーニュ)
モエ・エ・シャンドン(シャンパン) 画像提供:Werner Weisser
ワインに詳しくない方でも知っているであろう高級スパークリングワイン、庶民が憧れるシャンパン。トラディショナル方式は別名シャンパーニュ方式とも呼ばれます。
モエ・エ・シャンドン(モエシャン)やドンペリが有名。一般的に高級品ですが、最近は安価のシャンパンも売られています。
メモ
恋人や上司へのギフトで迷っていたら、取り敢えずシャンパンを贈っておけば問題なし。
安くて美味しい!コスパ最高のカバ!
高級品になりがちなトラディショナル方式ですが、スペイン産のカバは財布に優しい価格で売られています。
「シャンパンと同じ造り方で、安いんです」と言う文言は、業界内では誰もが使うセオリーです。エチケットにCAVAと表記してあるので、すぐに分かります。
メモ
普段飲みやワイン会でスパークリングを飲みたければ、カバを選ぶのが無難。
シャルマ方式
トラディショナル方式とは異なり、大きなタンクで二次発酵を起こし、短期間で大量に造られます。
瓶内二次発酵に劣っているわけではなく、この方法はワインが空気と接触しないので、葡萄のアロマが残りやすいのがメリット。
カジュアルでフルーティーなスパークリングワインを造るのに適しています。下記のアスティはシャルマ方式の代表的なスパークリングです。
マスカットのアロマでチャーミングな甘口♪アスティ・スプマンテ
イタリアのスパークリングワイン アスティ・スプマンテ
北イタリアで、マスカット(モスカート)を原料にして造られる甘口のスパークリングワイン。食前酒、食中酒、もしくはデザートワインでも活躍します。
店に行き、「アスティください」と言えば、大抵置いてあります。天使のラベル(エチケット)のアスティは大変有名。「天使のワインありますか」と聞かれることも多いです。
メモ
ワインを飲み慣れていない恋人に贈るワインの定番。バレンタインでもホワイトデーでも大活躍するワイン。大学生がプレゼントを探していたら、取り敢えずアスティを勧めることが多いです。
その他の方式
他にもトランスファー、アンセストラル、炭酸ガス注入方式等が存在するが、重要なのは上に述べた二つです。
ワインが美味しい国はどこ?
ここまで読めば、ワインの基本は大まかに理解できたと思うので、ここから生産国の特徴を解説していきます。
フランス
フランス エッフェル塔 画像提供:Pete Linforth
言わずと知れたワイン大国。ワインと聞いて真っ先にフランスを思い浮かべる人も多いでしょう。
一昔前だと、フランスワインは値段と味のバランスがシビアだと言われていましたが、最近では南仏(南フランス)を中心にコスパの良いワインも増えています。
世界で有数の偉大な産地!赤ワインのボルドー
ボルドーのワイン 画像提供:jacqueline macou
ボルドーは、フランスで1、2位を争う人気の生産地。少々粗い例えとなるが「シャトー○○」と名乗るワインは、ボルドー産であることが多いです。
圧倒的に赤ワインが有名ですが、辛口の白ワインやデザートワインも産出しています。カベルネやメルロー等、複数の葡萄品種をブレンド(アッサンブラージュ)してワインを造ることが特徴です。
メモ
価格は1,000円台~数十万円まで幅広いが、安価のボルドーは品質がイマイチなので、安くても2,000円付近の価格帯が妥当。 お手軽なギフトで迷っていたら、3,000円以上のボルドーを選んでおけば問題ありません。
ボルドーと並んで大人気!通向けのブルゴーニュ!
ブルゴーニュはボルドーと並んで人気のある産地です。ボルドーはブレンド主体ですが、ブルゴーニュはブレンドをしない単一品種で造られることが多いです。
白ワインはシャルドネやアリゴテ、赤ワインはピノ・ノワールやガメイを用いますが、他の産地と比べると価格が高く、高いもの(ロマネ・コンティ等)だと100万円以上することもあります。
メモ
1,000円台のブルゴーニュも存在するが、白はともかく赤は酸っぱくて薄いことが多いのでお勧めしません。 ギフトで迷っていたら、4,000円以上のブルゴーニュを選べば喜ばれます。
初心者にオススメ!安くて美味しいラングドック・ルーション
さて、上の二大産地は重要なので挙げましたが、安くて美味しいフランスワインを探すなら、南仏(ラングドック・ルーション)が大本命となります。
安くて美味しいワインと言えばチリが有名ですが、チリに匹敵するコスパのワインも多数存在します。ワインの種類が多く品質もピンからキリまで多種多様、中には驚くほど美味しいワインも存在します。
エチケット(ラベル)に、「I.G.P.」や「ヴァン・ド・ペイ」、「ペイ・ドック」と表記されているものを探しましょう。その表記は一定の品質が保証されている証です。
メモ
店の人に「オススメの南仏ワインください」と聞くと、その勧められたワインは大抵「I.G.P.ペイ・ドック」だと思うので、分からなければ聞いた方が早いです。 「ジャン・クロード・マス」や「シャプティエ」と言う生産者のワインはコンビニやスーパーにも置かれており、安くて美味しいワインです。
フランスのその他の産地
他にも魅力的な産地は多々ありますが、これはワイン入門編の記事なので、ここでは省略します。
イタリア
イタリア ヴェネツィア 画像提供:Gerhard Bögner
フランスに並ぶワイン大国ですが、その性格は大きく異なります。ワイン造りの歴史はフランスよりも古く、長靴のように南北に長く延びた地形は様々な個性のワインを生み出します。
全州でワインが造られており、気候、土壌、品種も多種多様、それでいて果実味に富んでいて飲みやすいタイプが多いです。フランスワインより、初心者向けと言えるでしょう。
フルーティーで飲みやすいワインの宝庫!シチリア州
いきなり最南端のシチリア州を挙げましたが、赤ワイン、白ワイン共に飲みやすいタイプが多いです。シチリアのカジュアルでフルーティーなワインはランチ、ディナーで大活躍します。
メモ
スーパーではシチリアの安価なオーガニックワインをよく見かけるし、スクリューキャップのものも多いので、敷居が低いです。間違いなくお勧め。
日常飲みから高級ワインまで幅広い!ピエモンテ州
フランスに隣接する北部に位置するピエモンテ州は、高いものは高いですが、カジュアルで飲みやすいスパークリングワインや白ワインを産出する優れた産地です。
スパークリングワインの項目でも触れた甘口の「アスティ」や、フルーティーで高品質な白ワイン「ガヴィ」、ギフトに最適なフルボディの「バローロ」等、様々なワインが存在します。
メモ
甘口ワインからスタートする方は多いので、取り敢えず「アスティ・スプマンテ」をセレクトし、マスカット風味の爽やかな泡を楽しむのも良いでしょう。
安旨スパークリングや赤ワイン!ヴェネト州・アブルッツォ州
イタリアの赤ワイン モンテプルチアーノダブルッツォ
沢山産地を挙げても混乱されると思うので、ピンポイントにお勧めワインを紹介します。
ヴェネト州のカジュアルなスパークリングワイン「プロセッコ」とアブルッツォ州の偉大な安旨赤ワイン「モンテプルチアーノダブルッツォ」です。
メモ
フルーティーな辛口のプロセッコ、ミディアムボディのモンテプルチアーノダブルッツォは、簡単に入手できるし、大抵のレストランに置いてあります。
イタリアのその他の産地
その他にもトスカーナ州やプーリア州等、魅力的な産地は数えきれないほど存在しますが、これらはイタリアがメインテーマの記事で詳細に扱います。
チリ
チリワインは安くて美味しい。気候にも恵まれ、高品質なワインを産出します。その環境は他のワイン生産国が羨むほど。赤、白、スパークリング、カジュアルワインから高級ワインまで満遍なく美味しいです。
「3Wの国」と呼ばれ、素晴らしい気候(weather)、美人な女性(woman)、美味しいワイン(wine)が揃っていると言う、何て羨ましいことでしょう。・・脱線しましたが、チリのワインは初心者向けだと言えます。
チリの赤ワイン コノスル・クールレッド(ピノノワール)
メモ
コノスルと言うメーカーの自転車マークのエチケット(ラベル)のワインがお勧め。「コノスルのピノノワール」か「コノスルのリースリング」を飲んでみて下さい。
その他の生産国(スペインやアメリカ等)
フランス、イタリア、チリ以外にも、スペイン、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチン、そして日本等、優れた生産国は多数ありますが、上に挙げた三大ワイン大国を差し置いてまで初心者向けに選定する意味があるかは疑問ですね。
まとめ
今回は最低限のワインの基本について解説しました。
ポイント
- ワインは葡萄を原料とした醸造酒である。
- アルコール発酵によって果汁からワインになる。
- 南仏、イタリア、チリワインは安くて飲みやすい。
- スパークリングなら、シャンパン、カバ、プロセッコを飲んでみよう。
重要なポイントは以上です。
飲食店視点、ショップ視点、愛好家視点で、ワインの捉え方は変わってくるので、あくまで一例として参考にして下さい。
https://wineline.jp
【ワイン初心者必見】誰でも分かるワインの基本を徹底解説!
2021年6月8日
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「ワインってどんなお酒なんだろう?」
「取り敢えずササッと一通り知りたいな」
この記事では、こう言った疑問にお答えします。
最初に結論を言ってしまうと、ワインとは葡萄から造られるお酒です。
今回の記事ではもう少々踏み込んで詳細に語ります。
ワイン・ライン荒野
私はワイン業界に10年以上従事し、現場一筋で現在も売り場に立ち続けています。
ワインエキスパートの資格を取得した私が解説していきます。
ワインってどのようなお酒?
ワインとビール
それでは解説していきましょう。
酒税法とワインの分類
日本の酒税法(酒に関する法律)では、ワインは葡萄果汁を原料とした醸造酒に分類されています。
「醸造酒って何?」と思われる方に、分かりやすい例えを出すと、醸造酒はワインや日本酒、第三のビール等を指し、蒸留酒はブランデーやウィスキー、焼酎等の濃い酒を指しますが、ここでは、ワインは葡萄の醸造酒だと覚えておいて下さい。
さて、こうなると、「観光地で売っている苺ワインや柚子ワイン、梅酒は、原料が葡萄ではないからワインではないの?」と疑問に思う方もいると思います。
一般的に、葡萄以外の果実を使ったワインは、フルーツワインと呼ばれていますが、酒税法でその定義はありません。フルーツワインは甘味果実酒やリキュールを含む混成酒類に分類され、我々がイメージする葡萄のワインとは異なります。
ワインの分類
ワインは醸造方法によって、スティル・ワイン、スパークリングワイン、フォーティファイド・ワイン、フレーヴァード・ワインに分類されます。
スティル・ワイン
スティル・ワイン6本 by ワイン・ライン
皆さんが思い浮かべているワインは、大抵スティル・ワインを指す。シュワシュワと発泡していない普通のワインです。
赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン、オレンジワイン(オレンジのワインではない)等があり、味わいも辛口から甘口まで多様です。
スパークリングワイン
スパークリングワイン・ロゼ 画像提供:Vratsagirl
発泡性のワインを指します。フランスの「シャンパン」やスペインの「カバ」等が有名。スーパーやコンビニの酒売場に行けば何種類か冷えていますね。
発泡が弱いものは弱発泡性ワイン、または微発泡性ワインと呼ばれ、ワイン初心者にも飲みやすい爽やかなものが多いです。ガタオと呼ばれる猫のラベル(エチケット)の微発泡性ワインは飲みやすいのでオススメ。
メモ
ドラマや漫画で有名なドンペリはスパークリングに分類されます。
フォーティファイド・ワイン
シェリー 画像提供:Volker Schoen
ワインの醸造中に、ブランデーやアルコールを添加して、アルコール濃度を高めて、味わいにコクを持たせたタイプ。通常のワインと比べて日持ちします。
シェリー、ポートワイン、マディラ、マルサラ等があり、甘口のものも多い。アイスクリームにかけたり、料理のソースにも使われます。
フレーヴァード・ワイン
冷えているサングリア 画像提供:Ruth Archer
ワインに、ハーブや果実、甘味料等を加えたタイプ。サングリアが有名。
メモ
フォーティファイド、フレーヴァードは混成酒類に分類されます。
ワインってどうやって造られるの?
さて、ワインの原料や種類が分かったところで、葡萄の果汁がどのようにお酒になるのか学んでいきましょう。
アルコール発酵によって葡萄ジュースからワインになる
アルコール発酵により、ただの葡萄ジュースからワインへと劇的に変化します。酵母が葡萄に含まれる糖分を食べて、アルコールと炭酸ガス(二酸化炭素)に分解する。
醸造工程に関しては他にも多々ありますが、別の記事で解説するとして、今は取り敢えずこのシステムによってワイン(お酒)になることを押さえておけば問題ありません。
赤ワインの造り方
赤ワインとボトル 画像提供:congerdesign
赤ワインは何故赤いの?それは黒葡萄(スーパーで見かける紫色の葡萄をイメージして欲しい)の果肉を皮や種子ごと潰し、それらの混合物と果汁を漬け込むことにより赤い色が付くのです。
これにより色と味が濃くなり、タンニン(渋味)をしっかりと感じるワインとなります。種をかじると苦い、それがワインの苦味の正体です。
メモ
赤ワインにおいて、フルボディやミディアムボディと言った味の違いは、タンニンの含有量に起因します。
白ワインの造り方
冷えている白ワイン 画像提供:Ben Kerckx
赤ワインとは異なり、白ワインは白葡萄(マスカット等をイメージして欲しい)を圧搾した果汁を原料として用いる。赤ワインのように皮や種子を漬け込み発酵させるのではなく、果汁のみを使用しているのがポイントです。これにより渋味を感じず、フレッシュでフルーティーな味わいになります。
極論、黒葡萄を用いても、皮ごと漬け込まず果汁を使えば、ワインに濃い色は付きません。
ロゼ(ピンク色)ワインの造り方
ロゼワイン(スパークリング) 画像提供:Karin Romdahl
上の極論を応用するとロゼワインになります。白ワインの醸造方法で、黒葡萄の「果汁のみ」を用いますが、葡萄の圧搾時に若干のピンク色が付きます。
また、通常の赤ワインの醸造方法で、皮や種子ごと漬け込む時間を短くすることにより、ロゼにする方法もあります。
黒葡萄と白葡萄を混ぜたり、赤ワインと白ワインを混ぜる方法もありますが、それを禁じている国もあります。
オレンジワインの造り方
ルーマニアのオレンジワイン
上でも述べたがオレンジのワインではなく、白葡萄を果皮や種ごと漬け込んで造られるワインで、通常の白ワインよりは濃い色合いのオレンジ色に見えるワインの総称です。
白葡萄を使い、赤ワインのようにして造るワインと理解しておけば良いでしょう。味わいは、白ワインよりはタンニン(苦味)を感じます。アールグレー、ダージリンのような紅茶のニュアンスを感じることもあります。
メモ
今、オレンジワインはブーム。ジョージアが有名ですが、他にもイタリアや勿論、日本でも造られています。
スパークリングワインってどうやって造られるの?
アルコール発酵の際に造られる炭酸ガスがキーポイント。
スパークリングワインの醸造方法は複数あるので、中でも重要なものを解説していきます。
トラディショナル方式(瓶内二次発酵)
ワインを瓶に詰め、アルコール発酵に必要な糖分と酵母を加えて密封させ、瓶の中で二次発酵を起こします。その際に炭酸ガスが発生するのでスパークリングとなります。
一本一本処理をするので手間も時間もかかりますが、瓶の中で発酵するため、味わいに凝縮感とコクが出ます。
下に代表的なトラディショナル方式のワインを記します。
こだわりの高級スパークリング!シャンパン(シャンパーニュ)
モエ・エ・シャンドン(シャンパン) 画像提供:Werner Weisser
ワインに詳しくない方でも知っているであろう高級スパークリングワイン、庶民が憧れるシャンパン。トラディショナル方式は別名シャンパーニュ方式とも呼ばれます。
モエ・エ・シャンドン(モエシャン)やドンペリが有名。一般的に高級品ですが、最近は安価のシャンパンも売られています。
メモ
恋人や上司へのギフトで迷っていたら、取り敢えずシャンパンを贈っておけば問題なし。
安くて美味しい!コスパ最高のカバ!
スペインのスパークリングワイン カバ
高級品になりがちなトラディショナル方式ですが、スペイン産のカバは財布に優しい価格で売られています。
「シャンパンと同じ造り方で、安いんです」と言う文言は、業界内では誰もが使うセオリーです。エチケットにCAVAと表記してあるので、すぐに分かります。
メモ
普段飲みやワイン会でスパークリングを飲みたければ、カバを選ぶのが無難。
シャルマ方式
トラディショナル方式とは異なり、大きなタンクで二次発酵を起こし、短期間で大量に造られます。
瓶内二次発酵に劣っているわけではなく、この方法はワインが空気と接触しないので、葡萄のアロマが残りやすいのがメリット。
カジュアルでフルーティーなスパークリングワインを造るのに適しています。下記のアスティはシャルマ方式の代表的なスパークリングです。
マスカットのアロマでチャーミングな甘口♪アスティ・スプマンテ
イタリアのスパークリングワイン アスティ・スプマンテ
北イタリアで、マスカット(モスカート)を原料にして造られる甘口のスパークリングワイン。食前酒、食中酒、もしくはデザートワインでも活躍します。
店に行き、「アスティください」と言えば、大抵置いてあります。天使のラベル(エチケット)のアスティは大変有名。「天使のワインありますか」と聞かれることも多いです。
メモ
ワインを飲み慣れていない恋人に贈るワインの定番。バレンタインでもホワイトデーでも大活躍するワイン。大学生がプレゼントを探していたら、取り敢えずアスティを勧めることが多いです。
その他の方式
他にもトランスファー、アンセストラル、炭酸ガス注入方式等が存在するが、重要なのは上に述べた二つです。
ワインが美味しい国はどこ?
ワイン・ラインの試飲用ワイン
ここまで読めば、ワインの基本は大まかに理解できたと思うので、ここから生産国の特徴を解説していきます。
フランス
フランス エッフェル塔 画像提供:Pete Linforth
言わずと知れたワイン大国。ワインと聞いて真っ先にフランスを思い浮かべる人も多いでしょう。
一昔前だと、フランスワインは値段と味のバランスがシビアだと言われていましたが、最近では南仏(南フランス)を中心にコスパの良いワインも増えています。
世界で有数の偉大な産地!赤ワインのボルドー
ボルドーのワイン 画像提供:jacqueline macou
ボルドーは、フランスで1、2位を争う人気の生産地。少々粗い例えとなるが「シャトー○○」と名乗るワインは、ボルドー産であることが多いです。
圧倒的に赤ワインが有名ですが、辛口の白ワインやデザートワインも産出しています。カベルネやメルロー等、複数の葡萄品種をブレンド(アッサンブラージュ)してワインを造ることが特徴です。
メモ
価格は1,000円台~数十万円まで幅広いが、安価のボルドーは品質がイマイチなので、安くても2,000円付近の価格帯が妥当。 お手軽なギフトで迷っていたら、3,000円以上のボルドーを選んでおけば問題ありません。
ボルドーと並んで大人気!通向けのブルゴーニュ!
ブルゴーニュ シャルム・シャンベルタン
ブルゴーニュはボルドーと並んで人気のある産地です。ボルドーはブレンド主体ですが、ブルゴーニュはブレンドをしない単一品種で造られることが多いです。
白ワインはシャルドネやアリゴテ、赤ワインはピノ・ノワールやガメイを用いますが、他の産地と比べると価格が高く、高いもの(ロマネ・コンティ等)だと100万円以上することもあります。
メモ
1,000円台のブルゴーニュも存在するが、白はともかく赤は酸っぱくて薄いことが多いのでお勧めしません。 ギフトで迷っていたら、4,000円以上のブルゴーニュを選べば喜ばれます。
初心者にオススメ!安くて美味しいラングドック・ルーション
ペイドック ピノノワール
さて、上の二大産地は重要なので挙げましたが、安くて美味しいフランスワインを探すなら、南仏(ラングドック・ルーション)が大本命となります。
安くて美味しいワインと言えばチリが有名ですが、チリに匹敵するコスパのワインも多数存在します。ワインの種類が多く品質もピンからキリまで多種多様、中には驚くほど美味しいワインも存在します。
エチケット(ラベル)に、「I.G.P.」や「ヴァン・ド・ペイ」、「ペイ・ドック」と表記されているものを探しましょう。その表記は一定の品質が保証されている証です。
メモ
店の人に「オススメの南仏ワインください」と聞くと、その勧められたワインは大抵「I.G.P.ペイ・ドック」だと思うので、分からなければ聞いた方が早いです。 「ジャン・クロード・マス」や「シャプティエ」と言う生産者のワインはコンビニやスーパーにも置かれており、安くて美味しいワインです。
フランスのその他の産地
他にも魅力的な産地は多々ありますが、これはワイン入門編の記事なので、ここでは省略します。
イタリア
イタリア ヴェネツィア 画像提供:Gerhard Bögner
フランスに並ぶワイン大国ですが、その性格は大きく異なります。ワイン造りの歴史はフランスよりも古く、長靴のように南北に長く延びた地形は様々な個性のワインを生み出します。
全州でワインが造られており、気候、土壌、品種も多種多様、それでいて果実味に富んでいて飲みやすいタイプが多いです。フランスワインより、初心者向けと言えるでしょう。
フルーティーで飲みやすいワインの宝庫!シチリア州
シチリアの白ワイン グリッロ・ヴィオニエ
いきなり最南端のシチリア州を挙げましたが、赤ワイン、白ワイン共に飲みやすいタイプが多いです。シチリアのカジュアルでフルーティーなワインはランチ、ディナーで大活躍します。
メモ
スーパーではシチリアの安価なオーガニックワインをよく見かけるし、スクリューキャップのものも多いので、敷居が低いです。間違いなくお勧め。
日常飲みから高級ワインまで幅広い!ピエモンテ州
イタリアの白ワイン ガヴィ
フランスに隣接する北部に位置するピエモンテ州は、高いものは高いですが、カジュアルで飲みやすいスパークリングワインや白ワインを産出する優れた産地です。
スパークリングワインの項目でも触れた甘口の「アスティ」や、フルーティーで高品質な白ワイン「ガヴィ」、ギフトに最適なフルボディの「バローロ」等、様々なワインが存在します。
メモ
甘口ワインからスタートする方は多いので、取り敢えず「アスティ・スプマンテ」をセレクトし、マスカット風味の爽やかな泡を楽しむのも良いでしょう。
安旨スパークリングや赤ワイン!ヴェネト州・アブルッツォ州
イタリアの赤ワイン モンテプルチアーノダブルッツォ
沢山産地を挙げても混乱されると思うので、ピンポイントにお勧めワインを紹介します。
ヴェネト州のカジュアルなスパークリングワイン「プロセッコ」とアブルッツォ州の偉大な安旨赤ワイン「モンテプルチアーノダブルッツォ」です。
メモ
フルーティーな辛口のプロセッコ、ミディアムボディのモンテプルチアーノダブルッツォは、簡単に入手できるし、大抵のレストランに置いてあります。
イタリアのその他の産地
その他にもトスカーナ州やプーリア州等、魅力的な産地は数えきれないほど存在しますが、これらはイタリアがメインテーマの記事で詳細に扱います。
チリ
チリ(アタカマ砂漠) 画像提供:grebmot
チリワインは安くて美味しい。気候にも恵まれ、高品質なワインを産出します。その環境は他のワイン生産国が羨むほど。赤、白、スパークリング、カジュアルワインから高級ワインまで満遍なく美味しいです。
「3Wの国」と呼ばれ、素晴らしい気候(weather)、美人な女性(woman)、美味しいワイン(wine)が揃っていると言う、何て羨ましいことでしょう。・・脱線しましたが、チリのワインは初心者向けだと言えます。
チリの赤ワイン コノスル・クールレッド(ピノノワール)
メモ
コノスルと言うメーカーの自転車マークのエチケット(ラベル)のワインがお勧め。「コノスルのピノノワール」か「コノスルのリースリング」を飲んでみて下さい。
その他の生産国(スペインやアメリカ等)
フランス、イタリア、チリ以外にも、スペイン、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチン、そして日本等、優れた生産国は多数ありますが、上に挙げた三大ワイン大国を差し置いてまで初心者向けに選定する意味があるかは疑問ですね。
まとめ
ワイン・ラインのワインボトル
今回は最低限のワインの基本について解説しました。
ポイント
重要なポイントは以上です。
飲食店視点、ショップ視点、愛好家視点で、ワインの捉え方は変わってくるので、あくまで一例として参考にして下さい。