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ヴェガ・アイシャーラ コンステル ラシオ デル トライアングル 2018年

2023年8月28日

ヴェガ・アイシャーラ コンステル ラシオ デル トライアングル 2018年のレビュー

それでは、ワイン歴15年以上。ワインショップ店長のワインエキスパートがレビューします。

テクニカルデータ

商品名:ヴェガ・アイシャーラ コンステル ラシオ デル トライアングル 2018年
Vega Aixalà Constel Lació del Triangle 2018

価格:4,200円(変動します)

呼称:スペイン/カタルーニャ/ヴィノ・デ・メサ

タイプ:赤/ミディアムボディ

品種:トレパット66.5%(手摘み/平均80年)/マルスラン33.5%(手摘み/平均18年)

栽培:ビオロジック/認証無し

アルコール度:13度

備考:10月20日収穫/トレパットは全房でステンレスタンクで14日間醸し、フリーランジュースをステンレスタンクで発酵。
マルスランは除梗しセメントタンクで14日間醸し、空気圧式圧搾、セメントタンクで発酵。
(ピジャージュ 1日2回・ルモンタージュ 3日に2回/平均80年)

アンフォラで熟成。
無濾過・無清澄/瓶詰め:2019年5月27日。

インポーター:ディオニー

テイスティング

「外観」、「香り」、「味わい」ごとに解説します。

外観

  • 濁りのあるガーネット
  • 粘性はやや強め

香り

  • ファミックな野イチゴ
  • なめし革

味わい

  • フレッシュなラズベリー
  • ブルーベリー
  • 豊かな酸味
  • 豊かなタンニン

料理とのペアリング

豊かな酸味、塩味があるので、それに伴い合わせる料理も塩味が強いサラミやソーセージ等。
塩コショウを振ったポークソテー。
塩の使い方が重要。

生産者

ヴェガ・アイシャーラ(Vega Aixalà)
DOコンカデバルベラの女性醸造家エヴァが営むヴェガ・アイシャーラ、ワイナリー名の由来は彼女の父の姓(Vega)と母の姓(Aixalà)を合わせたものです。
カタルーニャのナチュラルワインの第一人者といえば、タラゴナのメンダール、DOコンカデバルベラのエスコーダ、ジョルディロレンス等の名前があがってくると思います。
彼女との出会いはそんなメンダール、エスコーダが音頭をとって毎年夏に開催されていますサロンH2O(Vegetal)での2017年。
ジョルディロレンスのブースを訪ねて色々話を伺っていると『彼女のワインも飲んでみてよ。一緒に白のマグナム限定キュヴェも造っているんだ』と隣のブースを勧めてくれた事がきっかけでした。

翌年2018年6月、初めてのボデガ訪問。
道中、どこまで登って行くんだ?というぐらい山道を上り続け到着した村は、斜面に無理やり造ったような、人が一切歩いていない、静かな静かな小さな小さな山村。
ドアをノックして出てきた彼女は、恥ずかしそうに微笑み『まさか本当に日本からきてくれるなんて!』と、訪問を本当に喜んでくれました。

まずは彼女のトラックに乗り込み畑をまわったのですが、その景観の美しさに目を奪われ、静けさに感動し、スレート土壌を開墾した彼女たちの努力に感嘆したのでした。

ボデガの歴史は2003年から始まります。
かつて祖父がワイン造りを行っていた土地、そこは長年の間放置されていたのですが、エヴァと彼女の父ホセの二人はこの土地でブドウ造りを復活させる決心をします。
そこはエヴァが幼少時育った場所であり、かつては伝統的な製法で祖父がワインを造っていた土地、二人にとってはこの土地を守ること、ブドウ栽培・ワイン造りを復活させることは長年の夢なのでした。
もちろん彼女たちはこの土地がブドウ栽培にとってスペシャルな土地だという事もよく理解していました。

しかしその実現は非常に困難を伴うものでした。
ボデガの復活はまず標高850~900mの急勾配斜面を開墾して800本のブドウの苗を植樹するところから始まります。
2004年にはさらに1000本植樹、2006年までの3年間でとても人が開墾できるとは思えないこの山頂の荒野を開墾して徐々に現在の10haの畑をつくっていきます。

もちろん初年度2003年からビオロジック栽培を貫いております。
コンカデバルベラの平野部とプリオラートのちょうど間、モンサン山脈の標高850~900mの急勾配にブドウは植樹されており、直線距離7km先は銘醸地プリオラートです。
土壌はそのプリオラートと同じネラル豊富なスレート土壌(粘板岩)。
この地で稀少な雨はスレートを伝って地中深く落ち、ブドウの根はわずかな水分と養分を求めて深く伸びるため、独特のミネラル、凝縮感があるワインができます。

また、反射作用も強く、光合成やブドウの成熟に大変良い効果をもたらしてくれます。
高標高に加えて、気候は大陸性気候で年間を通して雨が非常に少なく(平均約330ml/年)、四方を山に囲まれているので乾いた風が吹きます。
ベト病の心配がない素晴らしい立地です。
さらに昼と夜の寒暖差は非常に大きく(例年、夏は最高33度、最低は15~18度)、酸を残しながらゆっくりとブドウが熟し実っていきます。

彼女のワイン達は全て“エマ”という彼女の娘の名前を冠したワイン達です。
10haの畑がありますのでキュヴェ数は実は10種類を超えるのですが、このエマシリーズは、清澄・濾過・亜硫酸添加を一切行わいないフランスでいうところのヴァンナチュールスタイルです。

白はマセラシオン、赤はアンフォラで熟成させる拘りも持ち、素直で美しい果実味、しなやかな酸に柔らかなミネラルが特徴的です。

偉大なテロワールと繊細、真摯かつ膨大な努力が生んだ彼女のワイン。
ブルタルやジャメ、グラスカといったバルセロナのモダンなワインバーやレストランで、この夏非常に多くの彼女のワインが愛用されているのを見ると、壮観な畑の景色と親子の充実した笑顔が思い出されます。

(インポーター資料から抜粋)

ワインエキスパートの総評

テロワールとブドウの個性を反映した個性のある1本。
豊かな酸味、ミネラル感が印象的で、時間と共にタンニンが表面に出てくる。

ブドウ品種・トレパットはカバのロゼにも使われる。
淡い色合いの黒ブドウで酸が強い。
一方、マルスランはしなやかなタンニンを有しており、熟成にも耐えうるポテンシャルを持っている。
コンステル ラシオ デル トライアングル 2018年は、双方の個性を上手く表現した面白いワインだと言える。

  • B!