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ラディコン ヤーコット 2018年(500ml)

2023年8月8日

ラディコン ヤーコット 2018年(500ml)のレビュー

 

それでは、ワイン歴15年以上。ワインショップ店長!ワインエキスパートがレビューします。

テクニカルデータ

商品名:ラディコン ヤーコット 2018年(500ml)
Radikon Jakot 2018

価格:4,500円~5,500円(変動します)

呼称:イタリア/フリウリ ヴェネツィア ジュリア/IGT ヴェネツィア・ジュリア

タイプ:白(オレンジ寄り)/辛口

品種:フリウラーノ

栽培:1995年から畑での除草剤や化学肥料などの使用をやめ、化学薬剤の介在がない農法へと移行

アルコール度:13度

備考:フリウラーノは「トカイ フリウラーノ」と呼ばれていたが、ワイン法の改正で「トカイ」と名乗れなくなったことへの揶揄を含め、Tokajを逆から書いてJakotと名付けられた

インポーター:ヴィナイオータ

テイスティング

「外観」、「香り」、「味わい」ごとに解説します。

外観

  • 微かにピンクがかったオレンジ色
  • 淡い琥珀色
  • 粘性はやや強め

香り

  • コンポートしたオレンジ
  • 紅茶飴
  • ブランデー
  • カルヴァドス

味わい

  • プラムのような豊かな酸味
  • 凜としたミネラル感
  • ハチミツ
  • リンゴのミツ
  • カルヴァドスのようなコク

料理とのペアリング

ヤーコットは複雑味と豊かな酸味があるので、サラミやソーセージ等との相性が良いだろう。
ラディコンを訪れると、ワインと共に大量のサラミが出てくると聞いたことがある。
また、オレンジワインは揚げ物や中華料理との相性も良いので、合わせてみよう。

生産者

ラディコン(Radikon)
1807年にフリウリ ヴェネツィア ジューリア州オスラーヴィアに設立された。
第一次世界大戦の終戦後間もなく、1920年に現当主サシャの祖父エドアルド(エトゥコ)によってワイナリーが始められ、1980年よりサシャの父スタニスラオ(スタンコ 当時23歳)にワイナリーは委譲された。

それまで量り売りしていたワインを自らボトリングするようになり、スタンコが引き継いだ当初は、世界に通用するワインを目指し、シャルドネやソーヴィニョンなどの国際的なブドウの導入、ヘクタールあたり9500~10000本という高密植、圧縮空気式の圧搾、バリック内での醗酵と熟成、という当時の白ワインの世界で最上と考えられてきた醸造方法を実践していた。

赤のように複雑な白を、できる限り自然な醸造で

最上の醸造を実践した結果、ラディコンはフリウリを代表するワイナリーとして評価を高めることになる。
生まれ故郷であるコッリオは伝統的に白ワインの産地であり、スタンコは「赤ワインが白ワインよりも高価に取引されている事実は、赤の方が白よりも複雑な味わいを持ち、価値が高いものであると世間から認識されているからではないか?」と疑問を持つ。
赤のような複雑な味わいの白、それを出来る限り自然な醸造で造ることができないかと考察を重ねていく。

スタンコは父エトゥコが行なっているマセレーション(皮や種ごとの醗酵)という仕込みに着目。
1日目、2日目と収穫されたブドウを除梗もせずに皮や梗ごと木桶に漬け込むと、自重で潰れたブドウからジュースが出て醗酵が始まるのだ。

★父がマセレーションを行っていた理由は下記の3つ

  1. 電気のない時代に、粒の大きな完熟したリボッラを手動の圧搾機で絞ることが難しかった。
  2. 皮に含まれるタンニンが天然の酸化防止効果を持つ。
  3. 皮を漬け込むことで皮が柔らかくなり、手動の圧搾機でも限界まで搾れるので、その分果汁が多くとれ収量が増える。

白ブドウを赤ワインのように仕込む・・、今ブームのオレンジワインの醸造法である。

土着品種リボッラ ジャッラでのマセレーション

Agne27 - 投稿者自身による著作物

1995年に土着品種である「リボッラ ジャッラ」こそ自分たちの土地に適合してきたブドウであり、最も注目されるべき品種だと考えるようになる。
そして畑での除草剤や化学肥料などの使用をやめ、化学薬剤の介在がない農法へと移行。

コルクやボトルまでも、ワイン界の通念を壊していく

ラディコンは良質な天然コルクが今後入手困難になることを想定。
そして、コルク業者に今までにない細いコルクを、ボトル業者に小さな口径の瓶を開発してもらい、2002年からボトルを750mlから500ml&1000mlに変更。
空気の接触率が従来の750mlと同じで酸化しにくく、ランチでも2人で飲める500mlのボトルを導入した。

ラディコンのブルーラインとは?

「ブルーライン」は父スタンコからサシャが引き継いだキュヴェ。
ラディコンのスタンダードな仕込みで造られる。

樫の開放醗酵槽にて2~4か月間のマセレーションとアルコール醗酵(期間はヴィンテージによって異なる)、圧搾後2500~3500リットルの大樽にて3年間、瓶内で2年半熟成を行いリリースされる。

二酸化硫黄は無添加。

ラディコン ヤーコットとは

 

2001年がファーストヴィンテージであるヤーコットは、元々オスラーヴィエに混ぜられていたフリウラーノを単独でボトリングしたワイン。
以前はフリウラーノはトカイ フリウラーノと呼ばれていたが、ワイン法の改正で「トカイ」と名乗れなくなった。
そのことへの揶揄を含め、Tokaj(トカイ)を逆から書いてJakot(ヤーコット)と名付けられた。

(インポーター資料から抜粋)

ワインエキスパートの総評

フリウリと言えばラディコン、ラディコンと言えばオレンジワイン。
ヤーコットは独特なワインで、ブランデーやカルヴァドス、酸化熟成したシェリーのような風味を持つ。
二酸化硫黄無添加、熟成期間の長さに起因する個性である。

赤でも白でもない、オレンジワインの特性を思う存分味わえるワインになっている。

★酸化防止剤無添加で酸化が早いので、2~3日で飲みきろう。

コラム【オレンジワインと白ワイン】

オレンジワインとは、白ブドウを赤ワインのように果皮や種子ごと漬け込んで醸造したワインの総称である。
果汁のみを発酵させたものとは異なり、濃い色素が抽出されオレンジ色になり、味わいにタンニンも出てくる。

ただ、消費者側ではオレンジワインでも、生産者側は基本的に白ワインとしてリリースしているので、ショップ側は区分に困るのである。
オレンジワインの歴史は古くても、一般的に認知されたのはまだ新しく、あくまでも「新カテゴリー」として扱うのが妥当かもしれない。

当ブログでもオレンジワインの表記には悩むが、色合いに応じて「白」、「オレンジ」どちらも使用していこうと思う。

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